2012年5月4日金曜日

動物の皮膚病 - 臨床獣医学 画像診断学分野


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お尻の周りにしこりが 2009.7.24

最近、肛門の近くにしこりができた! 
それは肛門周囲腺腫と呼ばれる腫瘍かもしれません。去勢手術をしていない老齢の雄犬でよくみられる腫瘍です。通常、成長はゆっくりしていて転移も少ないですが、大きくなると肛門を刺激して排便の時に痛みがみられることがあります。腫瘍の切除や去勢手術でよくなることが多いですが、デリケートな場所だけに大きくなると肛門の機能が障害をうけることもあります。早めに治療しましょう。


肛門周囲腺腫という腫瘍です。男の子に多い腫瘍で肛門の近くに発生します。

犬のメタボか・・・いやクッシング病です 2009.7.26

もう1つホルモンの病気を紹介します。お腹がでてきた、血糖値が高い、こんなメタボな感じは人間だけの問題ではありません。高齢の犬では副腎から過剰なステロイドホルモンがつくられてメタボな体型になってしまうことがあるんです。体型だけでなくて、水をたくさん飲む、毛が抜けてきた、などの症状もみられることがあります。薬で治療できることもありますので、はやめに気づいてあげてくださいね。


クッシング病になったしまった犬ですがお腹がはって毛がうすくなってしまっています。

最近犬が暗い・・・毛が薄い・・・甲状腺の病気かも 2009.7.25.

ホルモン性の皮膚病の話しです。犬では甲状腺機能低下症という病気が多く見られます。甲状腺ホルモンは細胞の活動性を調整しています。なので甲状腺ホルモンが少なくなると活動性がにぶくなってしまいます。犬がなんだかもっさりして動きも鈍くなり、毛づやが悪くなり左右対称に脱毛してきます。ほかにも心拍がゆっくりになったり、寒さに順応しにくくなったりするのですが、飼い主さんは皮膚病として動物病院に来院されることが多いみたいです。最近体調はそんなに悪くないけど、暗いと思ったら一度診察をうけるといいかもしれません。治療はお薬で甲状腺ホルモンを補充します。通常、一生飲み続けることが多いのですが、飲んでいる間はふつうの生活が可能です。猫ではこの病気はほとんどありません。


甲状腺機能低下症の犬は外観上も性格的にも、もっさりしてきます。皮膚もちょっとむくんでいるように感じられることがあります。写真では尻尾が脱毛していますね。

ポメはときどき・・・ 2009.7.23

突然ですが、ポメラニアンは時々脱毛してしまいます。左右対称で胴体の部分の脱毛が中心です。この病気Alopecia X(脱毛症エックスという意味)と呼ばれており、ホルモン性だと考えられていますが、詳しい原因はよくわかっていません。脱毛以外に特に影響はないため、治療として、かわいい服を買ってあげることもあります。ただ、何かのきっかけで急に毛が生えてきたり、注射をするとその刺激でその部分だけ毛が生えてきたりします。不思議な病気です。積極的な治療としては去勢手術をしたり、時差ぼけのくすりであるメラトニンをつかったりします。


脱毛してしまったポメ君です。脱毛してしまっていますが、皮膚の赤みや痒みはありません。


ケンネルコフVSイヌインフルエンザ

カビ・・・うつるんです。 2009.7.21

ペットの動物は人と接触することも多く、時々人間に皮膚病をうつしてしまいます。ノミや疥癬(ダニ)などの寄生虫のほか、カビも人間にうつることがあります。原因は糸状菌と呼ばれる者でいわゆる水虫の仲間です。動物の糸状菌症を外観だけで判断することは我々でも難しいですが、ちゃんと検査すれば診断できます。動物病院でもときどきスタッフの感染がおきてしまいます。首や腕など皮膚が柔らかくて動物と接触するところに病変ができます。特徴的な赤いリングをつくることが多いので疑わしい時には、お医者さんへ行ってください(獣医ではないですよ)。その時、皮膚病のある動物を飼育していることを医師に伝えると診断が早いかもしれません。動物は動物病院で治療します。しっかり治療すれば治せる病気です。< /p>


カビ(糸状菌症)の猫です。人間にうつることもあります。

日焼けに注意 2009. 7.17

紫外線の強い季節、注意が必要なのは人間だけではありません。
実は猫も日にあたりすぎると皮膚に癌ができることがあります。特にk高齢の白っぽい猫では注意が必要です。よく顔にえぐれた様な病変ができます。外出する猫にできるので最初は"けんかしたかな"なんて思うのですが、いつまでも傷が治らないのが特徴です。治療としては手術が可能な場合は手術、そうでない場合には放射線治療を行うことがあります。人間と違って毛深い?ので日焼け止めクリームを塗ることは難しいですが、白い猫さんでは注意が必要かもしれません。


白い猫さんのまぶたにできた癌です。
顔にできることが多いので手術もなかなか難しいことが多いです。

ストレス脱毛? 2009.7.16

以前、犬で精神的な問題でおきる皮膚病の話しを書きました(7月10日)。犬の場合は前足の舐めやすいところに皮膚病ができることが多いですが、猫でも同じような病気があります。大抵は腰や下腹部あたりに病変ができます。とくに皮膚が赤くなったりボツボツができているわけではないのですがきれいに脱毛しているのが特徴です。自分で毛をむしってしまうためにおこりますが、口が届きやすいところを重点てきにむしるため、幾何学的な形で脱毛してしまいます。体調がわるかったり、別の皮膚病が原因だったり、精神的なストレスが要因だったりするようですが、はっきりとした原因は猫に聞いてみないとわからないかもしれません。


毛をむしりやすいところだけが脱毛しています。

猫だって痒い 2009.7.15.

そう、猫だって痒いんです。猫が痒がったらまずノミがいないか探してみてください。でももちろんノミ以外でも痒いこともあります。猫でもアレルギー性皮膚炎はよく見る病気です。でも見た目は犬と随分ちがいます。犬では病気が長いと皮膚が分厚くなったり、黒くしみなっていることがありますが、猫の皮膚病はいつも新しい皮膚病です。赤くなっていたり、時に写真のように皮膚が一枚むけた感じになって滲出液がでていることもあります。特に首や頭にこんな病変ができやすいです。治療は、ごはんを変えるなどしてしてアレルギーの元になっている物質(アレルゲン)を探して遠ざけるようにします。アレルゲンがわからない場合には、痒みの程度に応じてステロイド剤や他のかゆみ止めを使うなど対症療法を行います。


"喉頭麻痺"犬は埋めるクロス


アレルギーの猫の首の写真です。皮膚がびらんして
滲出液がでています。痒そうです。

シャンプー 2009.7.14

鹿児島に来て驚いたのは温泉の多さと安さです。まあ、目の前に煙を吐いている桜島さんがいるのでどこでも温泉がでそうですね。さて硫黄くさい温泉にいくとお肌がスベスベになりますね。これは皮膚の一番外側にある角質層がはがれてしまうからです。動物が温泉に入ることがあるかどうか知りませんが、動物用のシャンプー(薬用)にもいろいろあります。硫黄の温泉のように角質をおとすもの、脂成分を落とすもの、抗菌成分がはいったもの、刺激が少ないものなどなど。その犬の状態に適したシャンプーを選ぶことが大切です。例えばデリケートなアトピーの犬に角質溶解シャンプーはちょっと刺激が強いかもしれません。シャンプーのあとにフケがたくさんでるような場合には保湿などが必要かもしれません。 一部のシャ� ��プー(角質溶解性など)は目に入ると目を傷つけてしまうものもあります。目に入らないように注意してあげてください。   こういうえらそうなことを書いているめんどくさがりな私はリンスインシャンプーです(安いやつ)。

これは抗菌シャンプーです。主に細菌をやっつけたい時に使います。

ノミの話。2009.7.13

梅雨も明けました。この季節やはりノミは多いですね。とりあえず愛犬(猫)を捕まえて毛をかき分けてみてください。もし高速で動く黒い小生物がいればそれはノミです。もし、黒い粉のようなものが落ちていたらそれは多分ノミの糞。痒いノミは退治しましょう。ノミを退治する方法にはいくつかあります。ペットショップなどで普通に売られているノミの駆除薬の多くは、スプレー式の殺虫剤(ピレスリン系)と同様の成分を含んでいます。ご存知のとおり、まずまずの殺虫力があり、即効性です。動物病院で使うスポットオン式の駆除薬はより強い殺虫作用をもっていて同程度に安全で即効性です(例えばフィプロニル)。もう1つ発育阻害剤(IGR)と呼ばれる薬剤も使われています。ノミが卵から孵る時の他昆虫のさまざまな発� �段階を阻害します(例えばルフェヌロン)。即効性はありませんが安全とされ環境が清浄化されていきます。ライフスタイルにあったお薬を選択します。例えば外出する猫さんでしたら即効性のお薬がお奨めです。もう外部からノミが入ってこない環境ならIGRを使ってもいいかもしれません。ちなみにイヌノミ、ネコノミありますが今はネコノミが隆盛を誇っています。ネコノミはイヌにもかかります。獣医もときどき噛まれます。ベルトの下とか靴下の境目とか・・・かいーですよね。

ノミにやられたイヌです。イヌの場合しっぽ付け根とか背中が痒くなることが多いです。

ちょっと変わった皮膚病 2009.7.10

今回はちょっとかわった皮膚病です。犬は時に特に病気ではないのにおなじところをペロペロとなめて皮膚病をつくってしまいます。人間が爪を噛むときみたいにストレスを感じているのは、飼い主さんの気を惹こうとしているのか本当の理由は犬に聞かないとわからないでしょう(犬に聞いてもわからないかもしれませんね)。とにかく精神的な要因で同じところばかり舐めてそのためにそこに皮膚病ができてしまいます。飼い主さんへの依存度(精神的な)が強い犬にできやすいとされているようです。皮膚病は舐めやすい前足の手根(人間で言う手首)あたりにできることが多いです。



こんな感じに前足の舐めやすいところに皮膚病ができます。

耳痒いーの 2009.7.08

夏といえばホタル、花火、外耳炎かもしれません。犬の外耳炎は細菌が原因だったり、酵母の一種であるマラセチアが原因だったりします。そう、あとときどき疥癬もいますね。基本は洗浄と外用薬ですが、使うお薬は原因によって違います。しっかりと検査した方がいいでしょう。外耳炎がひどくなると首が傾いたり、瞬きができなくなったりします。そうなる前に早めに治療していくことが必要ですね。ふつうの治療でなかなか治らない場合には手術をすることもあります。


ちょっときびしい感じの外耳炎です。

アトピーの治療 2009.7.07

七夕ですね。七夕でも痒いものは痒い。アトピーは何らかのアレルゲン(ダニとか花粉とか)に体が反応してしまう病気です。対症療法だけでうまくいかない場合に犬でも体質を変えるため減感作療法を行うことがあります。そのためにどのアレルゲンが原因か調べなければなりません。もっとも正確だと思われるのは犬の体にごくわずかのアレルゲンを注射して実際に反応をみる方法です。皮内試験とよばれます。人間でも実施されていて自分もやられたことがあります。手が北斗の拳のケンシロウさんのように腫れてしまった思い出があります。写真は実際の皮内試験の様子です。うすく腫れているところが原因と思われるアレルゲンを打ったところです。治療として原因となるアレルゲンを少しずつ繰り返し注射することを繰り返� ��ます。根気が必要な治療です。

実際の皮内試験です。黒で点を書いてあるところに一種類ずつアレルゲンを注射していきます。反応して皮膚が赤くなっているところがありますね。

やっぱり多いんですアトピー性皮膚炎 2009.7.06

犬でもアトピー性皮膚炎は多いみたいです。アトピー性皮膚炎はアレルギー皮膚炎と同じようなものですが、遺伝的な素因があると言われています。柴犬とかボストンテリアとか、かかりやすい犬種があります。診断や治療には根気が必要です。ごはんを変えたり、細菌をやっつける抗生剤を飲んだりしても治らないのがアトピーです。でもちゃんと他の病気を除外していくこともが必要です。痒みをとめるステロイド剤が効くことが多いですが、量が増えるといろんな副作用がでてきます。症状や年齢などを考えながら治療方法を相談して決めます。

アトピーにかかってしまった柴犬君です。
かゆいです。

シーズーといえば 2009.7.03

世の中梅雨末期です。暑くて蒸しますね。犬は汗をかかないですし、天然ものの毛皮を着ているので大変だと思います。黒い毛皮の犬は暑いんでしょうね。今日はシーズーの話題です。人間にも汗かきの人やそうでない人がいますが、犬の皮膚も犬種によっていろいろです。シーズー君たちはどちらかというと皮膚が脂っこいです。こまったことにこの脂を好む酵母菌がいます。名前をマラセチア。かわいい名前ですが、結構痒いんです。首や脇や股のところが真っ赤になります。カビの一種なので普通の抗生物質は効きません。抗真菌の塗り薬や飲み薬、それにシャンプーをつかって治療します。
そういえば最近、ロン毛のシーズーっていなくなりましたね。



マラセチア症のシーズー君の典型的な皮膚病です。右側は検査の写真で皮膚の細胞のところにダルマ型のマラセチアがいます。

なんだこの輪っか状の皮膚病は! 2009. 7. 02

夏です。夏になるとやっぱり皮膚病が増えてきます。とくにこの季節は感染性の皮膚病が多いです。犬の皮膚病の中で一番多く見られるのが膿皮症ではないでしょうか?むずかしい名前ですが、体の表面に細菌が繁殖するやめにおきる病気です。典型的な場合、写真のように輪っかのような病変がみえます。細菌の感染が遠心状に広がっていくためにおきます。シャンプーで清潔にして必要に応じて抗生物質を飲んでもらいます。しつこい菌でなければわりと短期間で治ることが多い病気です。


輪状の病変ができて、いちばん外側のところでは皮がめくれています。真ん中の方はシミっぽくなってしまっていますね。皮膚の表面近くで細菌が増殖してしまうために起こる病気です。

しつこいぞ!毛包虫 2009. 7.01.

前回はコリー君がイベルメクチンという薬に弱いことを書きました。そのイベルメクチンはフィラリアの予防薬に使われていますが、その他にも皮膚の寄生虫の駆除にも使われます。その代表格が毛包虫です(写真)。虫といってもダニです。小さいので目ではみえません。写真のとおりいっぱんのダニっぽくありません。ガスのホースのつなぎ口のような体型です。この体で毛根深くもぐっていきます。手の先や口の周り、ひどくなれば全身が皮膚病になります。しっかり診断してイベルメクチンなどで治療することが大切ですが、薬が効きにくく治るまで半年くらいかかる場合もあります。(Momo)

左の写真が毛包虫です。コレでもダニです。右の写真は毛包虫にかかってしまったイヌの前肢です。かゆそうです。

コリー君のこと 2009.6.30.

長い鼻と襟毛?がチャームポイントですね。このコリーという犬種、実はフィラリア予防に使うお薬に副作用を起こしやすいことが知られています。ふつう使われるお薬(例えばイベルメクチンというお薬)フィラリアの予防で使う量なら副作用はおこりにくいのですが、もっとたくさんのお薬が必要な寄生虫病なんかで、治療をすると副作用でフラフラになり命に関わることもあります。コリー君の飼い主さんは注意してくださいね。コリー君が副作用を起こしやすいかどうか遺伝子を検査することで調べることができるようになっています。(Momo)

コリー君です。笑顔が素敵です。



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